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Cities: Skylines II 開発日記 Behind the Scenes #3: Game Balancing

更新情報

Paradoxフォーラムにて

Cities: Skylines II

の開発日記としてBehind the Scenes #3: Game Balancingが掲載されています。

今回の投稿の原本となったフォーラム内のページはこちらです↓

今回のテーマはGame Balancing、ゲームのバランス調整についてです。

以下パラドックス社フォーラム内の記事を意訳して紹介します。
下記の内容が必ずしも正しい翻訳とは限りません。
誤訳・誤解釈があると思いますがご了承ください。
正確な内容の把握はパラドックスフォーラム内の元投稿にてご確認ください。

Game Balancing

序文

皆さんこんにちは!また新たなCities: Skylines IIの開発日記をお届けします。
本日はCities: Skylines IIにおけるゲームバランス調整についてです。
まずは私達がバランスをとる上で行った指針と課題についての裏事情を説明したいと思います。
適切なバランスを取るということは常に課題なのですが、さまざまな機能に対して適切なバランスを取ることは、ゲームのプレイ方法やプレイ体験における重要な部分であり、特にシミュレーションゲームにおいて重要であると考えています。

一般的なプロセス

私達には当初から、初心者でも経験者でも楽しめて、アクセスしやすく、それでいて奥の深いゲームを作るというビジョンがありました。
例としてゲームの早期における進行をスムーズにするために政府補助金を作成しました。
このメカニックは都市に収入源がほとんどない中で、急成長する都市がランニングコストをカバーするのに役立ちます。
都市が十分に成長し自給自足できるようになると補助金は減少し、最終的には完全に廃止されます。
つまりゲームプレイは簡単にできつつ、新しいことを学び続けることができるのです。

もう1つの指針となるアイデアは、ゲームのリアリズムを強調することです。
建物がどのように機能するか、サービスの予算、貿易、市民消費、というものは全て現実世界でどのように見えるかに近いように設計されています。
バランスを取るための経験則として、約10k(1万)人の市民がいる町と、その規模の町でゲームがどのように機能すると予想されるかを念頭に置いています。
例えばCities:Skylines IIでは、多くの発電所が燃料を必要とします。
発電所への良好な道路接続を維持して機能を維持するために燃料を受け取ることに加え、燃料には実際にはコストがかかり、発電所基地の維持費に加算されることに留意する必要があります。

このサイズのゲームでは、すべての機能とその値を抑制するための適切なツールが必要です。
すべての建物の数値のマスターシートが開発の過程で構築され、必要に応じてそれらを追跡および調整します。
マスターシートを使用すると、独自の社内ツールを使用してマスターシートからプロジェクトに値を同期したり、その逆にプロジェクトからマスターシートにデータや新しいアセットを取り込むことができるため、多数のアセットを簡単に変更できます。
マスターシートの上には、他のさまざまなバランス面に関する多数のシートもあります。

ゲームの進行

Cities:Skylines IIでは全く新しい進行システムが開発されました。
マイルストーンはエクスペリエンスポイント(XP)を獲得することで解除されますが、それとは対照的にCities:Skylines(I)では人口ベースの進行により、都市が互いに非常に似通ったものになっていました(最終的なマイルストーンに到達するには大都市になる必要があるため)。
アクティブXPとパッシブXPを使用すると、大小さまざまな種類の都市を作成しても、すべての目標を達成できます。
したがって、進行のバランス、すなわちXPの報酬はゲームのペースを調整する重要な部分です。

ゲームのペースは決まっていますので、常にやらなければならないことがあります。
初期のゲームにおいては、次のマイルストーンに到達する前に新たにアンロックされたすべての機能を試すことができるよう、XPの進行がバランスよく調整されています。
これにより、プレイヤーがゲームを適切なサイズの塊にし、プレイヤーを圧倒するのではなく、ゲームを学習・吸収して穏やかに前進させることができます。

都市の建設、建物の配置、道路の建設に対するXPの報酬のバランスを取ることは難しい課題でした。
XPの報酬は十分に意味のあるものでなければなりませんが、マイルストーンがあまりにも早く連続して達成されないよう、あまり早くXPを積み上げるべきではありません。
例として、道路建設はセグメントごとにXPに報酬を与え、そのコストが高い場合は、道路建設だけで次のマイルストーンをアンロックするために必要なコストを迅速に満たすことができます。

受動的(パッシブ)XP報酬の調整は、Cities: Skylines IIにとって新しいタイプの課題でした。
マイルストーンを解除する受動的XPの至るルートは、積極的に都市を拡大するよりも緩やかなものですが、小さな町が現実の大都市よりも遅く進行するという考えにもよく合っています。
パッシブXPを獲得することに対する報酬が必要であるため、それを検討し実行することが現実的な選択肢となる必要性があります。したがってパッシブ報酬のバランスを適切に取ることは重要でした。

建物を建てるだけで得られるXPの増加を抑える方法は確かにありますが、一部の建物では建設費あたりのXP数が多くなるため、XPの値を何らかの意味のあるわかりやすい形式に保つことを意図的に許可しています。
私たちの考えとしては、ゲームをどのように選択するかはプレイヤー次第です。

マイルストーンに必要なXP要件は指数関数的に増加しゲームのペースを設定する

建物の統計

バランスを取る必要があるゲームのもう1つの重要な側面は、建物の機能全体を管理する、建物の統計でした。
都市サービスにはサービス固有の統計値があり、各サービスタイプは、異なる規模の都市で意図したとおりに機能させるため、個別のバランスサイクルを必要としていました。
都市サービスはアップグレード可能であり、長期的にはより意味のある選択が可能であるため、建物の基本統計のバランスをとるだけでなく、アップグレード自体の効果も考慮する必要がありました。
これは例えば、アップグレードによって建物の容量がどれだけ増加するか、新しい機能の可能性が都市にどのように影響するか、重複する影響がないか、同じ都市サービスビルを複数回建設する場合と比較して、建物と維持管理のコストがどのようになるかを調べることを意味しています。

ゾーン建物とシグネチャー(特徴的)建物は、ゾーンの種類によって異なるカテゴリに分類されます。
各ゾーンタイプには、ゾーンタイプ全体を自動的に制御するバランス値があります。
これには宅地の広さや、住宅用の階数やアパートの数などの乗数が含まれます。
職場の場合は建物の大きさが仕事の数や保管スペース、生産速度・能力などに影響します。

特徴的な建物は通常のゾーニングされた建物と同じ統計に従いますが、より多くの意味を与えるため、都市に利益をもたらすさまざまな異なる効果もあります。
これらの効果の中には局地的な効果をもたらすものもあれば、都市全体に影響を及ぼすものもあります。
効果のバランスを取るため、アンロック要件は、達成する事に意味のある建物として感じられるよう設定されています。

例:小学校
小学校はサービスの適用範囲が狭く、家庭の福利厚生ボーナスがどこまで届くかを制御する容量が小さく、ゲームでは教育情報ビューが開いているときに道路網に緑色で表示されます。
子供のいる家庭では、この緑のゾーンに住むことで幸福感がわずかながら高まります。
福利厚生ボーナスは、家族が小学校の近くに転居する理由となり、現実の生活で学校の近くに住みたいという家族の考えをシミュレートします。
サービス提供範囲が狭く収容人数が少ないのは、市内の各地区に独自の小学校があるということをシミュレーションしたかったからです。

マスターシートにより教育機関の建物の概要を簡単に把握でき、簡単に変更を加えてゲームに適用することができる

電力生産

本日見ていく最後のバランスの例は電気です。
Cities:Skylines IIでの電力生産は、このゲームでバランスを取る上で最も興味深く、多面的なものの1つです。
都市サービスの建築と維持費の基本値に加え、燃料の入手可能性とその価格が発電所の機能と維持費(はい、今作では発電所を維持するための燃料がランニングコストの一部です!)にどのように影響するかを考えなければなりませんでした。
また建物の発電量と燃料貯蔵能力、および汚染の影響範囲も考慮しなければなりませんでした。

最も一般的な疑問のひとつとして、互いに大きく異なる発電所のバランスをどうとるかということがあるでしょう。
例として完全にクリーンなエネルギーを生成し、燃料を必要とせず、汚染の影響範囲が非常に限られており(騒音公害のみですがこの場合、誰かの家の裏庭に設置すると少し厄介なことになります)、比較的安価に建設できる風力タービンがあります。
石炭発電所もあり、それは燃料を大量に消費し、場所を取り、地面や大気の汚染を大量に引き起こしますが、エネルギー出力も高く、風車(風力タービン)とは異なり多くの労働者を雇用できます。

これらの発電所のバランスを取るには、数学とゲームプレイのアイデアを組み合わせる必要があります。
ではクリーンエネルギーと化石燃料ベースのエネルギーをどのように比較するのか?
エネルギーを生産するさまざまな方法の長所と短所を、それぞれの選択自体が有効な選択であるように強調するにはどうすればいいのか?
そして最終的には現実主義に基づいたものにしておきたいのです。
つまり、石炭は風力エネルギーと比較して安定した高エネルギー源ですが、その一方ではるかに汚染度が高いということです。

異なるエネルギー源のバランスをとることは興味深い課題であった

これらの考慮事項に加えて、都市の発展のさまざまな状態にも留意したいと考えています。
規模の異なる都市に適した発電所もあります。
風力発電所は、都市を始めるための優れた比較的安価な方法ですが、それだけでは成長する大都市に電力を供給することはほとんどできないでしょう。
そしてさまざまな発電所を利用した上でそこからどこに向かうのか、プレイヤーの街のニーズと予算に合わせていつでも選択できるオプションを提供したいと考えています。

おわりに

このように各建物の規模や出力の統計値を比較するだけではなく、電力生産のバランスを取るために多くの配慮がなされています。
これにより街に電力を供給する方法を決める際、多くの興味深い実行可能な選択肢が得られることを願っています。
またいつものように、皆さんが自分の街を作り始めたら、フィードバックをいただけることを楽しみにしています。
次回は話題を変えて、Companies&Billboardsの技術面を見ていきます。


今回の内容は以上です。

感想・まとめ

Cities: Skylines IIのBehind the Scenes開発日記#3を紹介しました。

電力発電のスタイルごとの差異ですが、結局当たり前といえば当たり前のような現実に即したスタイルになっているようです。

そもそも今回の日記の内容全体が特に目新しいとか奇抜なことではなく、本作では都市建設というテーマの要素について、ごく自然に当たり前と感じられるようにシミュレーションゲームに落とし込んであるということだったかと思います。

[画像引用元:パラドックスフォーラム内 Behind the Scenes #3: Game Balancing]